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2023/10/30 月曜日
脳卒中障害者のためのメイクセミナー 開催しました
10月29日の世界脳卒中デーに、脳卒中障害者のための『私にもできる頑張りすぎない、いきいきメイクセミナー』を名古屋で開催しました。
この企画は、「(公財)公益推進協会 横寺敏夫 患者と家族の支援基金」の助成、化粧品メーカー「㈱コーセー」の全面協力、「NPO法人あなたの声」の失語症者サポートにより開催する事が出来ました。
脳卒中を発症すると、運動障害、失語症、高次脳機能障害、半側空間無視など、様々な後遺症が残る方がいます。発症前まではできていたことが、発症後思うようにできなくなることもあり、悩んでしまうケースが多いのです。しかし、そのすべてが治療やリハビリで治るわけでも、医療保険や介護保険のサービスでカバーできる訳でもないのです。
後遺症により困る生活場面の一つが化粧やスキンケアです。メイクセミナー開催のきっかけは、脳卒中障害者の方から寄せられたメイクに関する悩みでした。何人かに聞いてみると、多くの方がメイクに関して悩んでいることを知りました。
「片手しか動かないからうまくメイクが出来ない」
「目元のメイクがどうしても…アイラインやビューラーは諦めた」
「眉など左右のバランスを整えることが難しい」
「百貨店などに行く勇気がなくてメイクの相談ができない」
本当にたくさんの方が化粧やスキンケアで悩みを抱えていることが分かりました。さらには、化粧をすること自体を諦めてしまったという方も少なくありませんでした。
このような背景を受け、脳卒中障害者なら誰でもメイクを学ぶことのできる機会を地域に創るため、今回の企画を実施することになりました。
参加者は28名、見学や企画側の人も含めると約60名。参加者は3~4人のグループに分かれ、コーセーの化粧品を使って実戦形式で進行。メイクセミナーの講師はコーセーの林さんを中心に、チームで対応してくれました。メイクとスキンケアの技術やコツを分かりやすく教えてくれるだけではなく「クリームは麻痺側の手にのせて動く方の手で…」など、脳卒中の後遺症に配慮したアドバイスも盛り込んでくれました。まさに「脳卒中障害者のためのメイクセミナー」です。参加者がどんどん笑顔になって元気になっていく姿を見て「化粧の力」を実感しました。最後にはコーセーの化粧品7点セットを参加者にプレゼント。これには会場から拍手が沸き起こりました。
NPO法人あなたの声からサポートに来てくれた会話パートナーも大活躍で、脳卒中障害者の皆さんをサポートしてくれました。会話パートナーさんの的確なサポート、協力なくしてこの企画は成り立ちませんでした。本当にありがたい!
メイクの実践をした後は「容器ヒアリング」を実施。これは、脳卒中障害者の人が障害があっても使いやすい化粧品を開発するため、コーセーの商品デザイン部の担当者が参加者にヒアリングを実施する、というものです。参加者らは、日頃から化粧について悩んでいる気持ち、困っていることをたくさん話してくれました。脳卒中を発症した人にしか分からないこと、とても貴重は意見だと思います。よりよい容器デザインの開発のために自分たちの経験や思いを教えてくれた参加者の方、そしてその気持ちに全力で応えてくれたコーセーの皆さん、本当にありがとうございます。
参加者からは、たくさんの喜びの声が聞かれました。
「本当に参加をしてよかった、すごく楽しかった」
「病気を発症してからメイクを諦めていたけど明日から化粧する!」
「今まで目元メイクができなかったけどやり方を教えてもらって出来るようになった」
「外に出るときに化粧が出来ると思うと、外出が楽しみになった」
「同じ脳卒中の人同士で交流できて嬉しかった」
今回は「世界脳卒中デー」「脳卒中月間」という、脳卒中の啓発が世界中で行われる日に開催をしました。メイクセミナーの開催は、脳卒中障害の理解を地域に広げるきっかけにもなりました。
そして何より、メイクの力で皆を笑顔にすることができました。
こうやって、脳卒中障害のある方が社会参加することのできるきっかけを創り、医療や福祉だけではなく企業とも連携した優しい地域創りを実践していきたいなと思える一日でした。